相続土地の国庫帰属|条件・費用と代替策
2026年10月01日
相続土地の国庫帰属|条件・費用と代替策
「相続した土地を手放したいが、売れる見込みがない」とお悩みではありませんか。2023年4月にスタートした相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を国に引き渡せる仕組みとして注目を集めています。
しかし実際には、申請しても承認率は約6割程度にとどまり、条件を満たせず断念されるケースが少なくありません。
この記事では、相続土地国庫帰属の条件・費用を分かりやすく整理したうえで、制度を利用できない場合の代替手段まで解説します。北海道・札幌エリア特有の土地事情にも触れていますので、道内で相続土地にお困りの方はぜひ参考にしてください。
相続土地国庫帰属制度とは?2023年スタートの新制度を解説
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した不要な土地を、一定の条件のもとで国に引き渡せる制度です。2023年4月27日に施行されました。
制度創設の背景と目的
日本全国で所有者不明土地が増加し、その面積は約410万ヘクタールにのぼるとされています。管理されない土地が周辺環境の悪化や公共事業の妨げとなり、社会問題化したことが制度創設の背景です。
従来、不要な土地を手放す方法は限られており、相続放棄では他の財産も含めて全て放棄する必要がありました。この制度により「土地だけを手放す」選択肢が初めて誕生しました。
対象となる土地の基本要件
申請できるのは、相続または遺贈によって土地を取得した方です。売買で取得した土地は対象外となります。
共有地の場合は、共有者全員が共同で申請する必要があります。相続人が複数いる場合でも、持分を取得した方であれば申請が可能です。
制度開始後の申請件数と承認率の実態
法務省の公表データによると、制度開始から2026年3月までの累計申請件数は約2,800件を超えています。一方で、審査の結果、却下・不承認・取り下げとなったケースも多く報告されています。
承認に至る割合はおおむね6割前後とされ、残りの約4割は何らかの理由で国庫帰属が認められていません。「申請すれば通る」という制度ではない点を理解しておく必要があります。
国庫帰属が認められる条件・認められない土地の具体例
相続土地国庫帰属制度には厳格な要件が設けられています。条件を満たせない土地のほうが多いのが実情です。
申請が却下される10の不承認要件
以下に該当する土地は、申請段階で却下されるか、審査の結果不承認となります。
建物がある土地:解体して更地にしなければ申請できません
担保権や使用収益権が設定されている土地:抵当権・地上権などが残っている場合は不可です
他人の利用が予定されている土地:通路や墓地として使われている土地が該当します
土壌汚染がある土地:特定有害物質による汚染が確認された土地は対象外です
境界が明らかでない土地:隣地との境界確定が済んでいない場合は不承認となります
崖地で管理に過分な費用がかかる土地:急傾斜地や擁壁の維持が必要な土地です
地下に工作物や埋設物がある土地:古い浄化槽や産業廃棄物が埋まっている場合です
訴訟中の土地:所有権等をめぐる争いがある土地は申請できません
管理・処分を阻害する有体物がある土地:放置車両や大量の残置物がある場合です
管理に過分な費用・労力がかかる土地:鳥獣被害や災害リスクの高い土地が該当します
条件を満たせない土地が大半である現実
法務局への事前相談では、相談件数に対して実際に申請に至る割合は約3割程度にとどまるとされています。多くの方が相談段階で要件を満たさないことが判明し、申請を断念しています。
特に「境界が不明確」「建物が残っている」「管理に費用がかかる」の3つが、却下・不承認の主な理由です。これらの問題を解消するには追加の費用と時間が必要となり、結果的に制度利用を諦めるケースが多いのが現状です。
申請にかかる費用|審査手数料と負担金の目安を土地種類別に紹介
相続土地国庫帰属の条件を満たした場合でも、費用負担が発生します。審査手数料と負担金の2段階で費用がかかる仕組みです。
審査手数料1万4,000円と負担金の計算方法
申請時の審査手数料は土地1筆あたり1万4,000円です。この手数料は審査結果にかかわらず返金されません。
承認された場合は、さらに「負担金」の納付が必要です。負担金は国が10年間管理するために必要な費用を基に算出されます。
宅地・農地・山林など種類別の負担金シミュレーション
土地の種類によって負担金の計算方法が異なります。以下は目安となる金額です。
宅地(市街地):面積に応じて算定され、一般的な住宅用地で約20万円〜80万円程度です
農地(田・畑):面積区分ごとの算定式があり、約20万円〜50万円が目安となります
山林:面積が広くなるほど負担金が高額になり、約20万円〜数百万円に及ぶケースもあります
その他(原野・雑種地など):一律20万円が基準となります
たとえば北海道で多い広大な山林の場合、面積に応じて負担金が数十万円から100万円を超えることもあります。「お金を払って土地を手放す」形になる点は事前に理解しておきましょう。
一方、不動産買取であれば費用を支払うのではなく、売却代金として手元にお金が残ります。この違いは大きな判断材料になります。
北海道・札幌エリア特有の土地事情と国庫帰属の適用可否
北海道は全国的に見ても相続土地の問題が深刻な地域です。札幌法務局管内の相談件数は全国でも上位に入っています。
原野商法被害地・広大な山林は帰属できるか
北海道では1970〜80年代の原野商法により、価値のない原野や山林を高額で購入させられた被害が多発しました。その土地が相続により次世代に引き継がれ、処分に困っているケースが道内各地で報告されています。
原野商法で取得された土地は、境界が不明確であったり、アクセス道路がなかったりする場合が多く、国庫帰属の要件を満たせないケースが目立ちます。境界確定だけでも数十万円〜100万円以上の測量費用がかかることがあり、帰属制度の利用が現実的でない場合も少なくありません。
札幌法務局への相談・申請の実績と傾向
札幌法務局管内では、制度開始以降の相談件数が年間数百件規模にのぼるとされています。相談内容として多いのは、山林・原野の処分と、市街化調整区域内の土地に関するものです。
市街化調整区域の土地は建物の建築が制限されるため、買い手がつきにくく、相続後に持て余すケースが多くあります。ただし、国庫帰属制度を利用する場合でも管理コストが高い土地として不承認になる可能性があります。
なお、登記地目が「田」「畑」の農地については、農地法に基づく農地転用許可が別途必要になる場合があります。一方、「山林」「原野」「雑種地」は農地法の対象外であり、農地転用許可は不要です。この区別は重要ですので、お間違えのないようご注意ください。
札幌市内の地下鉄沿線やJR沿線の住宅地は比較的需要があるため、買取という選択肢も十分に検討の余地があります。市街地エリアの土地であれば、国庫帰属で費用を支払うよりも、不動産買取で現金化できる可能性が高い傾向にあります。
国庫帰属を断念した場合の3つの代替手段を比較
相続土地国庫帰属の条件を満たせなかった場合でも、土地を手放す方法はあります。代表的な3つの選択肢を比較してご紹介します。
不動産買取・相続放棄・自治体寄付の特徴
不動産買取:不動産会社が直接買い取る方法です。仲介と異なり買い手を探す必要がなく、最短数日で現金化できます。費用負担がないどころか売却代金が手元に入ります
相続放棄:家庭裁判所に申述して相続そのものを放棄する方法です。ただし、土地だけでなくすべての財産を放棄する必要があり、相続開始を知った日から3か月以内に手続きする期限があります
自治体への寄付:市町村に土地を寄付する方法です。ただし、自治体が受け入れるのは公共利用の予定がある土地に限られ、実際に受け入れてもらえるケースは多くありません
費用・手間・確実性で比較する選択肢一覧表
比較項目国庫帰属制度不動産買取相続放棄自治体寄付
費用審査手数料1万4,000円+負担金20万円〜原則なし(売却代金を受領)数千円〜数万円(司法書士依頼時)原則なし
手元に残る金額なし(費用のみ発生)売却代金が手元に残るなしなし
手続き期間半年〜1年以上最短数日〜数週間3か月以内に申述数か月〜(自治体判断)
確実性承認率約6割(却下リスクあり)高い(買取会社が査定・判断)高い(期限内なら原則可能)低い(受入拒否が多い)
対象範囲相続した土地のみ制限なし全財産を放棄自治体が認めた土地のみ
当社では、国庫帰属の要件を満たせなかった土地や、一般の不動産会社では取り扱いが難しい物件も積極的に買取査定を行っています。原野・山林・市街化調整区域内の土地など、札幌・道内の困難物件にも対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
申請から国庫帰属までの流れ|5つのステップ
国庫帰属制度を利用する場合の手続きの流れを5つのステップで解説します。想像以上に手間と時間がかかる点を事前に把握しておきましょう。
法務局への相談から承認までの手続き
ステップ1:法務局への事前相談:まずは管轄の法務局(札幌の場合は札幌法務局)に相談します。要件を満たすか事前に確認してもらえます
ステップ2:申請書類の準備:申請書・土地の状況説明書・登記事項証明書・地図や写真などを揃えます。境界が不明確な場合は測量も必要です
ステップ3:申請と審査手数料の納付:書類一式を法務局に提出し、審査手数料1万4,000円を納付します
ステップ4:法務局による審査:書面審査に加え、法務局担当官による実地調査が行われます。審査期間は半年〜1年程度かかるのが一般的です
ステップ5:承認と負担金の納付:承認通知を受けたら、通知から30日以内に負担金を納付します。納付が完了した時点で土地の所有権が国に移転します
申請に必要な書類と準備のポイント
申請には多くの書類が必要で、準備だけでも1〜3か月かかるケースがあります。特に境界確定測量は費用も時間もかかる大きなハードルです。
書類の不備や要件を満たさない場合は差し戻しとなり、さらに時間がかかります。専門家(司法書士・行政書士)に依頼する場合は、別途10万円〜30万円程度の報酬が発生するのが一般的です。
こうした手続きの煩雑さや費用を考えると、特に札幌市内や道内の市街地エリアにある土地は、不動産買取で早期に解決するほうが合理的な場合も多くあります。
まとめ|条件に合わない土地は早めの相談が解決の近道
相続土地国庫帰属制度は画期的な仕組みですが、厳しい条件・長い審査期間・費用負担という現実があります。2026年現在、札幌の不動産市場は地下鉄沿線やJR沿線を中心に底堅い需要が続いており、買取できる土地は想像以上に幅広い状況です。
国庫帰属と買取、それぞれに向いているケース
国庫帰属が向いているケース:買い手が全くつかない山間部の土地で、時間と費用をかけてでも確実に手放したい場合
不動産買取が向いているケース:できるだけ早く・費用をかけずに手放したい場合。特に市街地エリアや道路に面した土地は買取の可能性が高い傾向にあります
当社では、相続した土地の無料査定を承っております。国庫帰属の条件を満たせるか迷っている段階でも構いません。最短翌日のスピード査定で、お客様の土地にどのような選択肢があるかをご提案いたします。
「この土地はどうにもならない」と諦める前に、まずは一度ご相談ください。
よくある質問
Q: 相続土地国庫帰属制度の負担金はいくらですか?土地の種類別の目安を教えてください
A: 負担金は土地の種類と面積によって異なります。宅地は約20万円〜80万円、農地は約20万円〜50万円、山林は面積に応じて20万円〜数百万円が目安です。
原野・雑種地などは一律20万円が基準となります。これに加えて審査手数料1万4,000円が別途必要です。
Q: 建物が建っている土地でも国庫帰属制度は使えますか?
A: 建物がある土地は国庫帰属の対象外です。利用するには事前に建物を解体し、更地にする必要があります。
解体費用は木造住宅でも100万円〜300万円程度かかるのが一般的です。解体費用と負担金を合わせると高額になるため、建物ごと不動産買取に出すほうが費用を抑えられるケースも多くあります。
Q: 相続土地国庫帰属と相続放棄はどちらが有利ですか?
A: 最大の違いは「土地だけを手放せるか、全財産を放棄するか」です。国庫帰属は不要な土地だけを手放し、預貯金や他の不動産は相続できます。
相続放棄はすべての財産を放棄するため、プラスの財産が多い場合は国庫帰属のほうが有利です。ただし相続放棄は相続開始から3か月以内の期限がある点にご注意ください。
Q: 国庫帰属が認められなかった土地はどうすればいいですか?
A: 不動産買取が現実的な選択肢の一つです。当社のような買取専門会社であれば、一般的に売りにくいとされる土地でも査定・買取が可能な場合があります。
そのほか自治体への寄付も選択肢ですが、受け入れてもらえるケースは限られます。まずは複数の方法を比較検討し、専門家に相談されることをおすすめします。
札幌の不動産買取、まずは無料査定から
受付時間: 10:00〜18:00(月〜土)
