戸建て買取と増改築未登記のリスク
2026年09月21日
戸建て買取と増改築未登記のリスク
「相続した実家を売りたいけれど、増築部分が登記されていないかもしれない」。こうしたご相談は札幌でも年々増えています。
増改築の未登記は、戸建ての買取査定額に直接影響する重要な問題です。しかし、登記費用をかけずに「そのまま買取」できるケースもあります。
この記事では、増改築が未登記のまま戸建てを買取に出す際のリスクと、損をしないための判断基準を具体的な数字とともに解説します。
増改築の未登記とは?放置されやすい3つの原因
増改築の未登記とは、建物の増築・改築・用途変更を行ったにもかかわらず、法務局への変更登記がされていない状態を指します。
未登記が生まれる仕組みと法的義務
不動産登記法では、建物の増築や改築を行った場合、1か月以内に「建物表題変更登記」を申請する義務があります。違反すると10万円以下の過料が定められています。
しかし実際には、この過料が科されるケースはほとんどありません。そのため「登記しなくても特に困らない」という認識が広がり、未登記のまま何十年も放置される戸建てが多いのが実態です。
固定資産税は市区町村の現地調査で課税されるため、登記をしなくても税金の通知は届きます。このことも「登記は不要」と誤解される原因になっています。
よくある未登記パターン
戸建てで特に多い未登記のパターンは以下の3つです。
増築:部屋の追加、2階部分の拡張、ベランダの囲い込みなど、床面積が増える工事
改築:木造から鉄骨への構造変更、屋根の葺き替えによる構造変更など
用途変更・附属建物の新築:車庫や物置の新築、店舗から居宅への変更など
これらの工事を地元の工務店に依頼した場合、業者側から登記の案内がないことも珍しくありません。特に昭和から平成初期の工事では、登記の説明自体がなかったケースが大半です。
札幌の戸建てに未登記の増改築が多い理由
道内、とりわけ札幌の戸建てには未登記の増改築が全国平均より多い傾向があります。寒冷地ならではの事情が大きく関係しています。
昭和40〜50年代の断熱改修・風除室・車庫増築の事情
札幌では昭和40〜50年代に建てられた戸建てが数多く残っています。この時代の住宅は断熱性能が現在の基準に比べて大幅に低く、築後に断熱改修や二重窓の設置を行った物件が非常に多いのが特徴です。
さらに、北海道の冬に欠かせない「風除室(玄関フード)」の設置も、未登記のまま残りやすい増築の代表例です。風除室は外気の侵入を防ぐために玄関前に設ける小さなスペースですが、床面積に算入される場合があり、本来は登記変更が求められます。
また、積雪対策としてカーポートではなく壁と屋根のある車庫を増築するケースも札幌では一般的です。こうした車庫も附属建物として登記が必要ですが、「車を置く場所を作っただけ」という感覚から、登記されないまま残っているものが少なくありません。
寒冷地ならではの増改築が登記されにくい背景
札幌を含む北海道の戸建てでは、冬季の生活を快適にするための増改築が「当たり前の工事」として行われてきました。
地下鉄沿線やJR沿線の住宅街でも、築30年以上の戸建てでは風除室や車庫の増築がほぼ標準的に行われています。こうした工事は生活の延長として捉えられ、登記という法的手続きが意識されにくかったのです。
2026年現在、札幌の不動産市場では中古戸建ての取引が活発化しており、売却や買取の際に初めて未登記が発覚するケースが増えています。
未登記の増改築がある戸建てを買取に出す5つのリスク
増改築が未登記のまま戸建てを買取に出す場合、以下の5つのリスクが査定額や取引に影響します。
買取査定額が下がる構造的な理由
登記費用の見込み減額:買取業者は再販時に登記を整える必要があるため、その費用分(一般的に15万〜40万円程度)を査定額から差し引くことがあります
建物面積の不確定リスク:登記簿上の面積と実際の面積が異なると、正確な評価が難しくなり、安全マージンとしてさらに減額されるケースがあります
契約不適合責任のリスク:未登記部分の存在は、将来の買主から契約不適合を主張される可能性があり、業者はそのリスクも価格に織り込みます
戸建て買取において増改築の未登記リスクは、単純な登記費用だけでなく、複合的な要因で査定額に影響します。
固定資産税の課税床面積との不一致が生むトラブル
市区町村は独自の現地調査に基づいて固定資産税を課税しています。そのため、課税床面積と登記床面積が一致しないケースが頻繁に発生します。
たとえば、登記簿上は80平米の戸建てに20平米の増築をした場合、固定資産税は100平米分で課税されていても、登記上は80平米のままです。この不一致は買取査定時に「何が正しい面積なのか」という混乱を招きます。
さらに、過去の増築が課税台帳にも反映されていないケースでは、遡って固定資産税を追徴される可能性もゼロではありません。一般的に過去5年分の追徴が行われることがあり、思わぬ出費につながるリスクがあります。
金融機関の担保評価と未登記部分の扱い
未登記の増改築がある戸建ては、金融機関の融資審査において不利に扱われます。この点は買取価格にも間接的に大きな影響を与えます。
買主がローンを組めないケースと買取価格への影響
仲介で売却する場合、買主は住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、金融機関は登記されていない部分を担保評価に含めないのが原則です。
たとえば実際の建物面積が100平米でも、登記上が80平米なら担保評価は80平米分にとどまります。これにより買主が希望する融資額を確保できず、購入を断念するケースが少なくありません。
買主がつかなければ仲介では売れません。結果として、未登記の増改築がある戸建ては仲介市場で長期間売れ残り、最終的に大幅な値下げを余儀なくされることがあります。
担保評価で未登記部分が除外される仕組み
金融機関の担保評価は登記簿謄本をベースに行われます。登記されていない増築部分は、法的に「存在しない」として扱われるため、評価額に反映されません。
この仕組みがあるため、仲介売却では未登記部分を登記してから売り出すのがセオリーとされています。しかし、買取専門業者への売却であれば、買主側の融資問題が発生しないため、未登記のままでも取引が成立しやすいという大きなメリットがあります。
当社のような買取専門業者は自社資金で直接買い取るため、金融機関の担保評価に左右されることがありません。これが仲介との最大の違いです。
登記してから売る vs そのまま買取:損益分岐の判断基準
未登記の増改築がある戸建てを売却する際、「登記してから売る」か「そのまま買取に出す」かは、費用対効果で判断できます。
土地家屋調査士への依頼費用と買取価格差のシミュレーション
建物表題変更登記を土地家屋調査士に依頼した場合の費用目安は以下のとおりです。
増築登記(簡易なもの):約10万〜15万円
増築登記(構造変更を伴うもの):約15万〜25万円
附属建物(車庫・物置)の登記:約8万〜15万円
建物全体の再測量が必要な場合:約20万〜40万円
一方、未登記のまま買取に出した場合の査定減額幅は、一般的に登記費用相当額の1.2〜1.5倍程度と言われています。つまり、登記費用が20万円の場合、そのまま買取に出すと24万〜30万円の減額が見込まれます。
ただし、この減額幅は業者によって大きく異なります。未登記物件の取り扱い実績が豊富な買取業者であれば、自社で効率的に登記を処理できるため、減額幅を小さく抑えられる場合があります。
登記せずにAs-Is買取が有利になるケース
以下のようなケースでは、登記費用をかけずにそのまま買取に出したほうが、手元に残る金額が多くなる可能性があります。
建物の築年数が40年以上で、建物価値がほぼ土地値のみと評価される場合
増改築部分が小規模(風除室や小さな車庫など10平米未満)の場合
相続物件で早期処分を希望しており、登記手続きに1〜2か月かかることが負担になる場合
建物を解体して更地として再販する前提で業者が買い取る場合
反対に、築20年以内で建物価値が高く、増改築部分が大きい(20平米以上)場合は、登記を済ませてから売却したほうが有利になるケースが多いです。
未登記の増改築がある戸建ての買取までの流れ
未登記の増改築がある戸建てでも、買取専門業者であればスムーズに売却を進めることができます。一般的な流れをご紹介します。
未登記部分の確認方法(登記簿・固定資産税通知の照合)
まず、ご自身の戸建てに未登記の増改築があるかどうかを確認しましょう。確認方法は以下のとおりです。
登記簿謄本の取得:法務局で建物の登記事項証明書を取得し、記載されている床面積を確認します(手数料は1通600円)
固定資産税の課税明細との比較:毎年届く固定資産税の納税通知書に記載された課税床面積と、登記簿上の面積を比較します
面積の差異があれば未登記の可能性:課税床面積のほうが大きい場合、増築部分が未登記である可能性が高いです
登記簿謄本はオンライン(登記情報提供サービス)でも取得可能で、1通334円で閲覧できます。相続した実家の場合、まずはこの方法で確認するのが手軽です。
買取専門業者に依頼する場合の手順
未登記の増改築がある戸建てを買取専門業者に依頼する場合、おおまかに以下の流れで進みます。
無料査定の申し込み:電話やWebから査定を依頼します。この段階で未登記の増改築がある旨を伝えておくとスムーズです
現地調査と査定額の提示:担当者が現地を確認し、未登記部分の状況も含めて査定額を提示します。一般的に最短で即日〜3日程度で査定結果が出ます
買取条件の確認と契約:登記を売主側で行うか、業者側で対応するかも含めて条件を確認します
決済・引き渡し:契約後、最短2週間〜1か月程度で現金化が可能です
当社では、未登記の増改築がある戸建てでも、登記の有無にかかわらずまずは査定をお受けしています。札幌市街地エリアを中心に、道内全域で対応しております。
よくある質問
Q: 増改築が未登記のまま戸建てを買取に出すと査定額はどのくらい下がりますか?
A: 一般的には、未登記部分の登記にかかる費用相当額(10万〜40万円程度)かそれ以上の減額となるケースが多いです。
ただし、減額幅は増改築の規模や築年数、買取業者の対応力によって大きく変わります。複数の業者に査定を依頼して比較するのがおすすめです。
Q: 未登記の増改築部分を登記するには費用はいくらかかりますか?
A: 土地家屋調査士への報酬が主な費用で、増築登記の場合は約10万〜25万円が目安です。建物全体の再測量が必要な場合は40万円程度かかることもあります。
登録免許税は表題変更登記の場合は非課税ですが、所有権に関する登記が必要な場合は別途費用がかかる場合があります。
Q: 相続した実家に未登記の増改築があるか確認する方法はありますか?
A: 最も簡単な方法は、登記簿謄本に記載された床面積と、固定資産税の納税通知書に記載された課税床面積を比較することです。
課税床面積のほうが大きければ、未登記の増改築がある可能性が高いです。登記簿謄本は法務局やオンラインで1通334〜600円で取得できます。
Q: 風除室や車庫の増築が未登記の場合でもそのまま買取してもらえますか?
A: 買取専門業者であれば、風除室や車庫が未登記であってもそのまま(As-Is)で買い取れるケースが多いです。札幌では風除室や車庫の未登記は珍しくなく、対応実績のある業者も多くあります。
当社でも未登記の附属建物がある戸建ての買取実績が多数ございます。まずはお気軽にご相談ください。
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