遺産分割後の不動産売却手続きの流れ

2026年09月09日

遺産分割後の不動産売却手続きの流れ

相続した不動産を売却したいが、何から始めればよいかわからない。そのようなお悩みを抱えるお客様は少なくありません。

 

 

遺産分割から不動産売却までの手続きには、協議書の作成・相続登記・査定・売却契約と複数のステップがあり、それぞれに期限や費用が発生します。

 

 

この記事では、遺産分割協議の開始から不動産売却の完了まで、各ステップの所要日数・費用・依頼先を時系列で具体的にご案内します。札幌で相続不動産の処分をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

 

遺産分割協議の進め方と協議書の作成手順

 

不動産を売却するには、まず相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するかを決める必要があります。

 

 

 

相続人の確定と財産調査にかかる期間

 

最初に行うのは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得し、法定相続人を確定させる作業です。一般的に2週間〜1か月ほどかかります。

 

 

戸籍の取得は本籍地の市区町村役場に請求します。被相続人が転籍を繰り返していた場合は、複数の自治体に請求が必要となり、さらに時間がかかることがあります。

 

 

並行して、不動産の登記簿謄本・固定資産評価証明書・預貯金残高証明書などを取得し、相続財産の全体像を把握します。費用の目安は以下のとおりです。

戸籍謄本:1通450円〜750円

登記簿謄本(登記事項証明書):1通600円

固定資産評価証明書:1通300円〜400円

残高証明書:1通500円〜1,000円程度(金融機関による)

行政書士や司法書士に戸籍収集を依頼する場合は、3万円〜5万円が相場です。自分で行えば実費のみで済みますが、相続人が多い場合は専門家への依頼をおすすめします。

 

 

 

遺産分割協議書の書き方と必要な印鑑証明

 

相続人と財産が確定したら、全員で話し合い、分割方法を決定します。合意内容を書面にしたものが遺産分割協議書です。

 

 

不動産の売却を前提とする場合、「換価分割」として協議書に記載する方法が一般的です。具体的には、不動産を売却し、売却代金から諸費用を差し引いた残額を相続人間で分配する旨を明記します。

 

 

協議書には相続人全員の実印による押印と印鑑証明書の添付が求められます。印鑑証明書は発行から3か月以内のものを用意してください。

 

 

協議書の作成を弁護士や行政書士に依頼する場合の費用は、5万円〜10万円程度が目安です。

 

 

 

相続登記(名義変更)の手続きと必要書類一覧

 

遺産分割協議がまとまったら、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する「相続登記」を行います。

 

 

 

法務局への申請方法と登録免許税の計算

 

2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記申請を行わないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。2026年現在、すでに義務化から2年以上が経過しており、早めの対応が重要です。

 

 

相続登記の申請先は、不動産所在地を管轄する法務局です。札幌市内の不動産であれば、札幌法務局の本局または各出張所が窓口となります。

 

 

申請に必要な主な書類は以下のとおりです。

登記申請書:法務局のWebサイトからひな形をダウンロード可能

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式

相続人全員の戸籍謄本

遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付き)

固定資産評価証明書:登録免許税の計算に使用

相続関係説明図

登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。例えば評価額が2,000万円の不動産であれば、登録免許税は8万円となります。

 

 

 

司法書士に依頼する場合の費用相場

 

相続登記は自分で行うことも可能ですが、書類の不備があると補正を求められ、手続きが長引く場合があります。司法書士に依頼する場合の報酬は、6万円〜12万円が一般的な相場です。

 

 

登記完了までの期間は、書類が揃っていれば法務局への申請から1〜2週間程度です。札幌法務局では窓口での事前相談も受け付けているため、不明点がある場合は利用を検討してください。

 

 

 

協議がまとまらない場合の調停・審判の流れ

 

相続人間で意見が対立し、遺産分割協議がまとまらないケースもあります。その場合は家庭裁判所での手続きに移行します。

 

 

 

家庭裁判所での調停の進め方と期間の目安

 

まず行うのが「遺産分割調停」です。相続人の一人が家庭裁判所に申し立てを行い、調停委員を交えた話し合いで解決を目指します。

 

 

調停は月に1回程度のペースで期日が設けられ、解決までに半年〜1年かかることが多くあります。申立費用は収入印紙1,200円と郵便切手代程度と比較的安価です。

 

 

ただし、弁護士に代理を依頼する場合は着手金20万円〜50万円、成功報酬として取得財産の数%が加算されるのが一般的です。

 

 

 

審判に移行するケースと最終的な解決までの時間

 

調停でも合意に至らない場合、自動的に「審判」に移行します。審判では裁判官が法定相続分などを基準に分割方法を決定します。

 

 

審判による解決までの期間は、調停期間を含めて1年〜2年以上かかることも珍しくありません。その間、不動産を売却することはできないため、早期解決を望む場合は不動産を売却して代金を分ける「換価分割」の提案が有効です。

 

 

相続人間の対立が深刻になる前に、専門家を交えた話し合いの場を設けることが大切です。

 

 

 

相続不動産の売却方法を比較|買取と仲介の違い

 

相続登記が完了したら、いよいよ不動産の売却です。売却方法には大きく「仲介」と「買取」の2種類があります。

 

 

 

共有名義のまま売却する方法と単独名義にする方法

 

相続人が複数いる場合、不動産の名義をどうするかで売却方法が変わります。

共有名義のまま売却:相続人全員が売主となり、全員の署名・捺印が必要。意思統一が取れていればスムーズだが、一人でも反対すると売却できない

単独名義に変更してから売却:代表者一人に名義を集約し、売却後に代金を分配する「換価分割」方式。手続きはシンプルだが、名義人に大きな責任が集中する

相続人が遠方に住んでいる場合や人数が多い場合は、単独名義にまとめてから売却するほうが手続きの負担を軽減できます。

 

 

 

買取なら最短1週間で現金化できる理由

 

仲介による売却は、買主を探す期間が必要なため、一般的に3か月〜6か月ほどかかります。内覧対応や価格交渉など、売主側の負担も大きくなりがちです。

 

 

一方、不動産買取は買取会社が直接購入するため、買主を探す工程が不要です。当社では最短1週間での現金化に対応しております。

 

 

買取のメリットをまとめると以下のとおりです。

スピード:査定から売却完了まで最短1週間。相続税の納付期限に間に合わせやすい

手間なし:内覧対応・広告掲載が不要。遠方の相続人も現地に来る必要がない

現金化の確実性:買主のローン審査落ちで白紙になるリスクがない

仲介手数料が不要:直接買取のため、売却価格の3%+6万円の仲介手数料がかからない

契約不適合責任の免除:多くの場合、売主の契約不適合責任を免除する条件で買取可能

特に相続人が複数いるケースでは、早期に売却を完了して代金を分配できる買取の利点が大きいといえます。物件種別ごとの買取についてはこちらをご覧ください。

 

 

 

売却にかかる税金と使える特例制度

 

相続不動産の売却では、税金の負担を軽減できる特例がいくつかあります。活用できる制度を把握しておくことが重要です。

 

 

 

譲渡所得税の計算方法と取得費の考え方

 

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出ると、所得税と住民税が課されます。計算式は以下のとおりです。

 

 

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

 

 

相続で取得した不動産の場合、取得費は被相続人が購入した際の金額を引き継ぐことができます。購入時の契約書が見つからない場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算するのが一般的です。

 

 

所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」として税率約20%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)、5年以下の場合は「短期譲渡所得」として税率約39%が適用されます。なお、所有期間は被相続人の取得日から起算します。

 

 

 

相続空き家の3,000万円特別控除の適用条件

 

被相続人が一人暮らしをしていた自宅を相続し、一定の条件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。

 

 

主な適用条件は以下のとおりです。

1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物であること

相続の開始直前に被相続人が一人で住んでいたこと

相続から売却まで空き家のまま(賃貸や事業に使用していない)であること

売却価格が1億円以下であること

相続開始から3年後の年末までに売却すること

建物を耐震リフォームするか、取り壊して更地にして売却すること

この特例は要件が細かいため、適用の可否については税理士に確認されることをおすすめします。また、「取得費加算の特例」(相続税の一部を取得費に加算できる制度)との併用はできない点にもご注意ください。

 

 

 

札幌で相続不動産を売却するときの実務ポイント

 

札幌ならではの事情を押さえておくことで、売却をスムーズに進められます。

 

 

 

冬季の売却タイミングと市場動向の見極め方

 

北海道では12月〜3月の冬季は積雪の影響で不動産取引が落ち込む傾向があります。仲介で売却する場合、冬場は内覧数が減少するため、春先の3月〜5月に売り出すのが一般的な戦略です。

 

 

一方、買取であれば季節に左右されず、冬季でもスケジュールどおりに売却を進められます。相続税の申告期限(相続開始から10か月以内)が迫っている場合は、時期を問わず現金化できる買取が有力な選択肢です。

 

 

2026年の札幌不動産市場は、地下鉄沿線やJR沿線の住宅需要が底堅く推移しています。市街地エリアのマンション・戸建ては比較的売却しやすい状況が続いていますが、郊外の広大地や築古物件は売れ残りが長期化する傾向にあります。

 

 

 

広大地や市街化調整区域の相続不動産の扱い

 

道内では、相続で取得した土地が市街化調整区域にあるケースや、面積が広大で一般の買主がつきにくい物件も珍しくありません。

 

 

こうした不動産は仲介では買主が見つかりにくく、売却に1年以上かかることもあります。不動産買取であれば、当社のように困難物件にも対応できる会社が直接買い取るため、売却の見通しが立てやすくなります。

 

 

札幌近郊の広大地や市街化調整区域の土地についても、まずはお気軽にご相談ください。札幌の不動産買取実績はこちらでご紹介しております。

 

 

 

相続不動産の売却で後悔しないための注意点

 

最後に、実務で起きやすいトラブルと対策をお伝えします。

 

 

 

相続登記を放置するリスクと売却機会の損失

 

相続登記をしないまま放置すると、不動産の名義が被相続人のままとなり、売却や担保設定ができません。2024年の義務化により10万円以下の過料のリスクも生じています。

 

 

さらに、相続が二次相続・三次相続と重なると、相続人の数が膨れ上がり、全員の合意を得ることが極めて困難になります。札幌でも、名義が祖父のまま放置された不動産について、相続人が10人以上に増えてしまったケースは珍しくありません。

 

 

不動産の売却を少しでも検討されているなら、早めに相続登記を完了させることを強くおすすめします。

 

 

 

売却代金の分配方法でトラブルを防ぐコツ

 

相続人が複数いる場合、売却代金の分配方法をめぐってトラブルになることがあります。事前に以下の点を明確にしておくことが大切です。

分配割合:遺産分割協議書に具体的な割合を明記する

費用の負担:登記費用・譲渡費用・税金を誰がどの割合で負担するか決めておく

振込先の確認:売却完了後の送金先口座を事前に取りまとめておく

代償金の扱い:不動産以外の財産で調整する場合は、金額と支払い時期を明文化する

遺産分割から不動産売却、代金の分配まで、手続きの流れを最初に全体像として共有しておくことで、相続人間の認識のズレを防ぐことができます。

 

 

相続不動産の売却について不安がある方は、相続不動産の無料査定はこちらからお気軽にお問い合わせください。当社では札幌を中心に道内の相続不動産の買取に多数対応しております。

 

 

 

よくある質問

 

 

 

Q: 遺産分割協議がまとまる前に不動産を売却できますか?

 

A: 原則として、遺産分割協議が完了し相続登記を済ませるまで不動産の売却はできません。ただし、相続人全員が合意している場合は「換価分割」として、売却を前提に手続きを進めることが可能です。

 

 

この場合、代表相続人の名義で相続登記を行い、売却後に協議書の定めに従って代金を分配する流れが一般的です。

 

 

 

Q: 相続した不動産の売却で使える税金の特例にはどのようなものがありますか?

 

A: 代表的なものに「相続空き家の3,000万円特別控除」と「取得費加算の特例」の2つがあります。空き家特例は被相続人の自宅を一定条件で売却した場合に最大3,000万円を控除できる制度です。

 

 

取得費加算の特例は、相続税を支払った方が相続開始から3年10か月以内に売却した場合、相続税の一部を取得費に加算できるものです。なお、2つの特例は併用できません。

 

 

 

Q: 相続人が複数いる場合、売却代金はどのように分けるのですか?

 

A: 遺産分割協議書に記載した分割割合に従って分配します。例えば、相続人3名で均等分割と決めた場合は、売却代金から諸費用を差し引いた額を3等分します。

 

 

不動産は取得せず代わりに金銭で調整する「代償分割」を選択することも可能です。いずれの場合も、費用負担と分配方法を協議書に明記しておくことがトラブル防止の鍵となります。

 

 

 

Q: 相続登記をしないまま放置するとどのようなリスクがありますか?

 

A: 2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく3年以内に登記しない場合は10万円以下の過料の対象となります。また、登記をしなければ不動産を売却することも担保に入れることもできません。

 

 

さらに時間が経つと相続人が増え、全員の合意を取ることが困難になります。早めの対応が、売却の選択肢を広げる最善の方法です。

 

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