譲渡所得の計算とシミュレーション
2026年09月04日
譲渡所得の計算とシミュレーション
不動産を売却すると「譲渡所得税」が発生する場合があります。しかし、計算方法が複雑で「結局いくら手元に残るのか分からない」というお客様は少なくありません。
この記事では、札幌の実勢価格帯を使った譲渡所得シミュレーション3パターンを具体的にご紹介します。買取と仲介の手取り比較も数字で可視化しますので、売却方法の判断材料としてお役立てください。
譲渡所得とは?不動産売却で課税される仕組み
譲渡所得とは、不動産を売却して得た利益のことです。売却価格がそのまま課税対象になるわけではなく、取得費や譲渡費用を差し引いた「利益部分」に対して税金がかかります。
譲渡所得の基本計算式
不動産売却の譲渡所得は、以下の計算式で求めます。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
それぞれの項目を簡単に整理します。
売却価格:買主から受け取った金額
取得費:購入時の価格+購入時の諸費用(登記費用・仲介手数料など)から減価償却費を差し引いた金額
譲渡費用:売却時にかかった仲介手数料・測量費・解体費など
特別控除:マイホーム売却の3,000万円控除など、条件を満たせば適用できる制度
譲渡所得税・住民税・復興特別所得税の内訳
譲渡所得がプラスになると、所得税・住民税・復興特別所得税の3つが課税されます。給与所得とは分離して計算する「分離課税」方式です。
税率は不動産の所有期間によって大きく異なります。次の章で詳しく解説します。
所有期間で税率が変わる|短期・長期・10年超の一覧比較
不動産売却の譲渡所得計算で最も重要なポイントの一つが「所有期間による税率の違い」です。以下の早見表で、ご自身がどの区分に該当するかを確認してください。
3区分の税率早見表
区分所有期間所得税住民税復興特別所得税合計税率
短期譲渡所得5年以下30%9%0.63%39.63%
長期譲渡所得5年超15%5%0.315%20.315%
10年超所有の軽減税率10年超(マイホーム)10%(6,000万円以下の部分)4%0.21%14.21%
短期と長期で税率が約2倍違います。売却時期を少しずらすだけで税額が大幅に変わるケースもあるため、所有期間の判定は慎重に行いましょう。
所有期間の数え方と判定の注意点
所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定します。実際の所有日数ではない点に注意が必要です。
例えば、2021年4月に購入した不動産を2026年5月に売却する場合、実際には5年1か月所有しています。しかし2026年1月1日時点では4年9か月のため、短期譲渡所得(税率39.63%)に該当します。
取得費・譲渡費用の求め方と落とし穴
譲渡所得の計算で多くのお客様がつまずくのが「取得費」と「譲渡費用」の算出です。特に相続物件や築年数の古い不動産では、取得費が不明なケースが頻繁にあります。
取得費が不明な場合の概算取得費(5%ルール)
購入時の売買契約書が見つからないなど、取得費が分からない場合は「売却価格の5%」を概算取得費として計算できます。
ただし、この5%ルールは取得費が極めて小さくなるため、譲渡所得が大きく膨らみ税負担が重くなります。
例えば売却価格2,000万円の場合、概算取得費は100万円です。実際の購入価格が1,500万円だったとしても、契約書がなければ100万円しか計上できない可能性があります。購入時の書類は大切に保管しておきましょう。
譲渡費用に含められる項目リスト
譲渡費用として計上できる主な項目は以下のとおりです。
売却時の仲介手数料
売買契約書の印紙税
建物の解体費用(売却のために取り壊した場合)
測量費用
立退料(借家人がいる場合)
なお、買取業者への直接売却であれば仲介手数料が発生しないため、譲渡費用が少なくなります。結果として譲渡所得は仲介売却より大きくなりますが、仲介手数料の支出がない分、手取り額では有利になるケースがあります。
札幌の売却価格帯で試す譲渡所得シミュレーション3パターン
ここからは、札幌圏の実勢価格帯をもとに譲渡所得シミュレーションを行います。2026年現在、道内の中古マンションは平均1,500万〜2,500万円、中古戸建ては1,200万〜2,000万円が主な取引価格帯です。
パターン①:築20年マンション2,000万円売却(取得費不明)
地下鉄沿線の築20年マンションを2,000万円で売却したケースです。購入時の契約書がなく、取得費は概算取得費(5%ルール)を適用します。所有期間は20年(長期譲渡所得)とします。
売却価格:2,000万円
概算取得費:2,000万円 × 5% = 100万円
譲渡費用(印紙税など):10万円
特別控除(マイホーム3,000万円控除適用):1,890万円分を控除
譲渡所得 = 2,000万円 −(100万円 + 10万円)− 1,890万円 = 0円
マイホームの3,000万円特別控除を適用できれば、このケースでは税額はゼロになります。控除枠が譲渡所得を上回るためです。
パターン②:相続した戸建て1,800万円売却(3,000万円控除適用)
JR沿線エリアで相続した築35年の戸建てを1,800万円で売却したケースです。被相続人(親)の購入価格は2,500万円ですが、建物の減価償却を考慮します。
売却価格:1,800万円
取得費:土地1,200万円 + 建物(2,500万円 − 1,200万円)× 残存率 = 約1,500万円
譲渡費用:15万円
相続空き家の3,000万円控除を適用
譲渡所得 = 1,800万円 −(1,500万円 + 15万円)= 285万円
ここから相続空き家の3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得は0円となり、税額もゼロです。北海道では相続物件の売却相談が年々増加しており、この特例を活用できるかどうかで手取り額が大きく変わります。
パターン③:投資用マンション1,500万円売却(控除なし)
市街地エリアの投資用マンションを1,500万円で売却したケースです。マイホームではないため3,000万円控除は使えません。所有期間8年(長期譲渡所得)、購入価格1,800万円とします。
売却価格:1,500万円
取得費:1,800万円 − 減価償却費400万円 = 1,400万円
譲渡費用:20万円
特別控除:なし
譲渡所得 = 1,500万円 −(1,400万円 + 20万円)= 80万円
税額 = 80万円 × 20.315% = 約16万2,520円
投資用物件は特別控除が使えないため、少額の利益でも課税対象になります。ただし、このケースのように減価償却で取得費が下がっていても、売却損が出なければ比較的低い税額で済みます。
物件種別ごとの買取について詳しく知りたいお客様は、物件別買取メニューをご覧ください。
買取と仲介で手取り額はいくら変わる?比較シミュレーション
不動産売却の譲渡所得計算シミュレーションで見落とされがちなのが、「売却方法による手取り額の差」です。ここでは札幌の中古マンション2,000万円売却を例に、買取と仲介を比較します。
仲介手数料ありの場合の手取り計算
仲介で2,000万円の売却が成立した場合の費用を計算します。
売却価格:2,000万円
仲介手数料:2,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税 = 約72万6,000円
その他譲渡費用(印紙税等):約5万円
譲渡所得税(3,000万円控除適用で0円と仮定)
手取り額 = 2,000万円 − 72万6,000円 − 5万円 = 約1,922万4,000円
さらに仲介では売却完了まで平均3〜6か月かかり、その間の維持費(固定資産税・管理費等)も発生します。
買取(仲介手数料ゼロ)の場合の手取り計算
当社のような買取業者に直接売却した場合、仲介手数料はかかりません。買取価格が仲介相場より低くなることが一般的ですが、ここでは1,800万円で買取された場合を想定します。
買取価格:1,800万円
仲介手数料:0円
その他譲渡費用(印紙税等):約3万円
譲渡所得税(3,000万円控除適用で0円と仮定)
手取り額 = 1,800万円 − 3万円 = 約1,797万円
表面価格では200万円の差がありますが、仲介手数料を差し引くと実質の差は約125万円に縮まります。加えて、買取には以下のメリットがあります。
最短翌日〜1週間で現金化が可能
内覧対応・契約不適合責任が不要
確実に売却できるため資金計画が立てやすい
近隣に知られず売却できる
スピードや確実性を重視されるお客様にとって、買取は合理的な選択肢です。買取価格の無料査定もお気軽にご利用ください。
3,000万円特別控除と使える特例の早わかり
不動産売却時に使える税制特例のなかで、最もインパクトが大きいのがマイホーム売却の3,000万円特別控除です。適用できるかどうかで税額が数百万円単位で変わります。
マイホーム特別控除の適用条件チェックリスト
以下の条件をすべて満たす場合に適用可能です。ご自身のケースに当てはめて確認してください。
自分が住んでいた家屋またはその敷地を売却すること
住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
売主と買主が親子・夫婦など特別な関係でないこと
前年・前々年にこの特例を使っていないこと
他の特例(買換え特例など)を併用していないこと
2026年現在、札幌圏では住み替えに伴う売却相談が増えています。マイホーム控除を使えれば、道内の一般的な売却価格帯(1,500万〜2,500万円)では多くの場合、譲渡所得税がゼロになります。
相続空き家の3,000万円控除との違い
相続で取得した空き家を売却する場合にも、一定の条件を満たせば3,000万円の特別控除が使えます。ただし、マイホーム控除とは適用条件が異なります。
被相続人が一人暮らしだったこと
1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
相続から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
売却価格が1億円以下であること
耐震基準を満たすか、取り壊して更地にして売却すること
北海道の寒冷地住宅は本州と比べて建物の劣化が早い傾向があり、耐震基準を満たさないケースも多く見られます。解体して更地で売却するか、買取業者に現状のまま売却するかの判断が重要です。
確定申告の流れと必要書類まとめ
不動産を売却して譲渡所得が発生した場合、翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。3,000万円控除を使って税額がゼロになる場合でも、申告しなければ控除は適用されません。
申告時期とスケジュール
2026年中に売却した場合、2027年2月16日〜3月15日が申告期間です。売却後すぐに書類の準備を始めておくとスムーズです。
事前に準備しておく書類一覧
書類入手先備考
確定申告書(分離課税用)税務署・国税庁サイト第三表を使用
譲渡所得の内訳書税務署・国税庁サイト売却物件ごとに作成
売買契約書(売却時)手元保管コピーで可
売買契約書(購入時)手元保管取得費の証明に必要
仲介手数料の領収書手元保管買取の場合は不要
登記事項証明書法務局所有期間の確認用
住民票の写し市区町村特例適用時に必要
購入時の契約書が見つからない場合は、概算取得費(5%ルール)での計算となります。税負担が大きくなる可能性があるため、売却を検討し始めた段階で書類を探しておくことをおすすめします。
当社の買取実績や対応エリアについては会社概要・実績ページでご確認いただけます。
よくある質問
Q: 不動産の取得費が分からない場合、譲渡所得はどう計算すればよいですか?
A: 購入時の売買契約書が見つからない場合、売却価格の5%を「概算取得費」として計算に使います。例えば2,000万円で売却した場合、概算取得費は100万円です。
実際の購入価格より大幅に低くなることが多いため、税負担が重くなる傾向があります。購入時の書類は事前にしっかり探しておくことが大切です。
Q: マイホームを売却したとき3,000万円特別控除を使うと税金はゼロになりますか?
A: 譲渡所得が3,000万円以下であれば、控除により税額はゼロになります。札幌圏の一般的な売却価格帯であれば、多くの場合ゼロになるケースが見られます。
ただし、住まなくなってから3年以内の売却であることなど、適用条件を満たす必要があります。また、控除を使う場合でも確定申告は必要です。
Q: 買取業者に売った場合と仲介で売った場合で譲渡所得税に違いはありますか?
A: 譲渡所得税の税率自体は、買取でも仲介でも同じです。売却価格から取得費と譲渡費用を引いた利益に対して課税される仕組みは変わりません。
ただし、買取では仲介手数料がかからないため譲渡費用が少なくなり、結果として手取り額に差が出ます。総合的な手取り額で比較されることをおすすめします。
Q: 相続した実家を売却したときの取得費はどのように計算しますか?
A: 一般的に、相続で取得した不動産の取得費は被相続人(亡くなった方)の購入価格を引き継ぎます。親が1,500万円で購入した家であれば、取得費は1,500万円がベースとなります。
ただし建物部分は減価償却を考慮する必要があり、築年数が長いほど取得費は小さくなります。被相続人の購入時の契約書が見つからない場合は、概算取得費(5%ルール)を使うことになります。
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