複数の抵当権付き土地を売却する方法
2026年07月10日
複数の抵当権付き土地を売却する方法
土地に抵当権が2つ以上設定されていると、売却のハードルは一気に上がります。債権者全員との交渉や残債の整理など、通常の不動産売却にはない手続きが発生するためです。
しかし、適切な方法を選べば、複数の抵当権付き土地でも売却は可能です。この記事では、複数抵当権の基本的な仕組みから、買取を活用した具体的な売却手順まで、実務に即して解説します。
抵当権が複数付いた土地とは?基本の仕組み
まずは、土地に複数の抵当権が設定されている状態の基本を押さえましょう。仕組みを理解することで、売却時に何が問題になるかが見えてきます。
一番抵当・二番抵当の優先順位と意味
抵当権には登記された順番に「順位」が付きます。一番抵当権者が最優先で弁済を受ける権利を持ち、残った金額から二番抵当権者、三番抵当権者へと順に配当されます。
たとえば、土地の売却額が1,500万円で、一番抵当の残債が1,200万円、二番抵当の残債が500万円だった場合、一番抵当権者に1,200万円が配当され、二番抵当権者には残りの300万円しか回りません。
このように後順位の抵当権者ほど回収リスクが高くなるため、抹消の同意を得る交渉が難航しやすいのです。
共同抵当と累積抵当の違い
複数の抵当権には、大きく分けて2つのパターンがあります。
共同抵当:1つの債権に対して、複数の不動産がまとめて担保に入っている状態。土地と建物をセットで担保にするケースが典型的です
累積抵当:異なる債権者がそれぞれ別の債権のために抵当権を設定している状態。住宅ローンの銀行と、事業資金を借りたノンバンクなど、債権者が複数にわたります
共同抵当の場合は債権者が1社であることが多く、交渉先は限られます。一方、累積抵当では債権者ごとに個別の交渉が求められるため、手続きの複雑さが格段に増します。
複数の抵当権付き土地が売却しにくい3つの理由
抵当権が1つだけでも売却は簡単ではありませんが、複数付いている場合はさらに難易度が上がります。その理由を具体的に見ていきましょう。
全債権者の同意取得が必要になるケース
土地を売却して買主にきれいな状態で引き渡すためには、設定されている抵当権をすべて抹消する必要があります。抹消には各債権者の同意が不可欠です。
債権者が2社であれば2社分、3社であれば3社分の同意を取り付けなければなりません。1社でも応じなければ売却が止まってしまいます。
特に後順位の抵当権者は、売却額からの配当が少額またはゼロになるケースが多く、抹消に応じるメリットが薄いため、交渉が長期化しやすい傾向にあります。
オーバーローンで抹消費用が足りない問題
残債の合計が土地の売却見込み額を上回る「オーバーローン」の状態では、売却代金だけでは全額を返済できません。不足分をどう補うかが大きな課題になります。
自己資金で不足分を補填できれば解決しますが、それが難しい場合は任意売却の枠組みで債権者に減額交渉を行う必要があります。
一番抵当権者:元本の大部分を回収できるため、比較的交渉に応じやすい
二番以降の抵当権者:回収見込みが低い分、抹消料(ハンコ代)として数十万円を求められることがある
全体の調整:各債権者への配分を決める同時交渉が必要となり、個人で行うのは現実的に困難
買主が見つかりにくい
一般の買主は、登記簿に複数の抵当権が記載された土地を敬遠する傾向があります。引き渡しまでに抹消が完了するか不透明なため、購入リスクを感じやすいのです。
仲介市場に出しても内覧や問い合わせが少なく、売却期間が平均6か月〜1年以上に及ぶケースも珍しくありません。
売却方法の比較|仲介・買取・任意売却の違い
複数の抵当権付き土地を手放す方法は、主に3つあります。それぞれの特徴と、どのケースに向いているかを比較します。
仲介売却が難航しやすい理由
不動産会社に仲介を依頼して一般市場で買主を探す方法です。市場価格に近い金額で売れる可能性がある反面、複数の抵当権付き土地では以下の問題が生じます。
買主が抵当権の存在を嫌い、問い合わせ自体が少ない
売却完了まで債権者への利息が膨らみ続ける
売買契約後に抹消交渉が不調に終わると、違約金リスクが発生する
仲介手数料(売却額の3%+6万円+消費税)が別途かかる
時間的余裕がある場合は選択肢の一つですが、複数抵当権の案件では成約率が低くなりがちです。
買取なら短期決済で債権者交渉がスムーズ
買取業者に直接売却する方法は、複数の抵当権付き土地との相性が良い選択肢です。
最短1週間〜2週間で決済まで完了できる
買取業者が債権者との交渉を代行・サポートしてくれる
仲介手数料が不要で、売却にかかるコストを抑えられる
残置物や境界未確定の土地でも現況のまま買取可能なケースが多い
現金決済のため、資金計画が立てやすい
買取価格は市場価格の約70〜80%が目安ですが、仲介手数料が不要な分、手取り額の差は縮まります。抵当権の数が多いほど、交渉力を持つ買取業者への相談が有効です。
当社では、複数の抵当権が設定された土地の買取実績がございます。当社の物件別買取メニューはこちらからご確認ください。
任意売却という選択肢
オーバーローンの状態で、債権者の同意を得て市場価格に近い金額で売却する方法が「任意売却」です。競売を回避できる点がメリットですが、手続きに3〜6か月程度かかるのが一般的です。
任意売却は債権者主導で進むため、売主の希望が通りにくい面もあります。買取業者が任意売却の枠組みの中で買い取る形をとれば、スピードと債権者交渉の両立が可能になります。
複数の抵当権者と同時交渉する実務フロー
複数の抵当権付き土地を売却する際、最大の関門が債権者との交渉です。ここでは、残債確認から抹消同意までの具体的な手順を解説します。
残債確認から抹消同意までの5ステップ
ステップ1:登記簿謄本の取得:法務局で登記事項証明書を取得し、設定されている抵当権の数・債権者・債権額を正確に把握します。取得費用は1通600円です
ステップ2:各債権者への残債照会:すべての抵当権者に現時点の残債額を問い合わせます。残債証明書の発行には1〜2週間かかることがあります
ステップ3:売却見込み額の算定:土地の査定を行い、売却代金で各債権者にいくら配当できるか試算します
ステップ4:配分案の提示と交渉:各債権者に対して、売却代金の配分案を同時に提示します。後順位の抵当権者には抹消料(一般的に10万〜50万円程度)を設定するケースもあります
ステップ5:全債権者の抹消同意取得:全員の同意が揃った時点で売買契約を締結し、決済日に一括して抵当権を抹消します
この5ステップを個人で進めるのは手間と時間がかかります。買取業者に依頼すれば、ステップ3〜5を業者側で対応してもらえるため、お客様の負担を大幅に軽減できます。
債権者が応じない場合の対処法
交渉しても一部の債権者が抹消に同意しないケースがあります。その場合の対応策は主に3つです。
抹消料の増額提示:後順位の抵当権者に対し、配当額を上乗せして同意を促す
任意売却への切り替え:裁判所を介さない形で、債権者間の合意形成を専門家(弁護士・司法書士)に委ねる
競売の回避交渉:競売になると債権者の回収額がさらに下がることを説明し、任意での抹消が双方にとって有利であることを伝える
いずれの方法も、不動産取引の実務経験がある専門家のサポートが重要です。当社では債権者交渉の経験を活かし、お客様に代わって調整を進めております。
抵当権抹消の費用・期間と注意点
抵当権を抹消するには、登記手続きにかかる費用と時間を把握しておく必要があります。複数の抵当権がある場合、費用は件数に応じて増加します。
登録免許税と司法書士報酬の目安
登録免許税:抵当権抹消1件あたり1,000円(不動産1筆につき)。土地が1筆で抵当権が3件なら合計3,000円
司法書士報酬:1件あたり1万〜2万円が相場。3件まとめて依頼すれば割安になるケースもあります
事前調査費用:登記簿謄本の取得費用として1通600円
その他:郵送費・交通費などの実費が数千円程度
抵当権が3件ある土地の場合、合計で約4万〜7万円が抹消手続きの費用目安です。ただし、オーバーローンの場合は残債の清算が別途必要になります。
抹消手続きで失敗しやすいポイント
手続き自体は司法書士に依頼すれば2〜4週間程度で完了しますが、以下の点に注意が必要です。
債権者から受け取る「抵当権解除証書」の有効期限が切れてしまうケース
共同抵当の場合、対象不動産すべての手続きを同時に進める必要がある
債権者が合併・名称変更している場合、追加の登記手続きが発生する
書類の不備や期限切れを防ぐためにも、売却と抹消のスケジュールを一体で管理することが大切です。当社の会社概要・実績を見るページもご参照ください。
札幌エリアで抵当権付き土地を売却する際の注意点
札幌の不動産市場には、道内特有の事情があります。複数の抵当権付き土地を売却する際に知っておきたいポイントをまとめます。
地価下落エリアでオーバーローンになりやすい背景
2026年現在、札幌市内でも地価の二極化が進んでいます。地下鉄沿線やJR沿線の市街地エリアでは地価が安定〜上昇傾向にある一方、郊外エリアでは前年比で2〜5%程度下落している地点も見られます。
バブル期や2000年代前半に購入した土地では、当時の高値でローンを組んでいるため、現在の実勢価格との乖離が大きく、オーバーローンに陥りやすい状況です。
北海道の土地は本州と比べて1区画の面積が広い傾向にあり、100坪以上の敷地も珍しくありません。広大な土地は買い手が限られるため、市場での売却がさらに難しくなります。
郊外の広大な土地・市街化調整区域の扱い
札幌近郊には市街化調整区域に該当する土地も多く、建物の新築に制限がかかるため、一般の買主には敬遠されがちです。
市街化調整区域の土地:開発許可が必要なため仲介での売却が困難。買取業者であれば、資材置き場や太陽光発電用地など活用方法を見据えた買取が可能
JR沿線と郊外の価格差:JR沿線の住宅地は坪単価15万〜30万円程度だが、郊外では3万〜8万円まで下がるケースもある
道内特有の問題:積雪寒冷地ならではの地盤凍結リスクや、除雪費用の負担感から、冬季は特に買い手が減少する
こうした札幌・北海道特有の事情を理解した地元の買取業者に相談することで、適正な査定額と迅速な対応が期待できます。
まとめ|複数の抵当権付き土地は早めの相談が鍵
複数の抵当権が設定された土地の売却は、債権者との交渉や残債の整理など、通常の不動産取引より手間がかかります。しかし、放置すればするほど状況は悪化します。
放置するリスクと早期行動のメリット
延滞利息の増加:返済が滞ると遅延損害金が加算され、残債がさらに膨らむ
競売リスク:一番抵当権者が競売を申し立てると、市場価格の50〜70%程度でしか売却できない
地価下落リスク:札幌の郊外エリアでは年々地価が下がっており、売却を先送りするほど手取り額が減少する
精神的負担:複数の債権者からの連絡や督促が重なり、生活への影響も大きくなる
早めに行動すれば、選択肢が広がります。買取であれば最短1週間での決済も可能であり、複数の債権者との交渉も当社が代行いたします。
土地 買取 抵当権 複数 付き 売却でお悩みのお客様は、まずは状況をお聞かせください。抵当権が複数付いた土地でも、当社は残債整理を含めた買取プランをご提案しております。
無料査定・ご相談はこちらから、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q: 抵当権が2つ以上付いている土地でも買取してもらえますか?
A: はい、対応可能です。当社では抵当権が複数設定された土地の買取実績があり、残債整理を含めた買取提案を行っております。
債権者との交渉サポートも行いますので、お客様が個別に連絡を取る必要はありません。まずは現在の残債額と土地の状況をお聞かせください。
Q: 複数の抵当権者全員の同意がないと売却できないのですか?
A: 原則として、売却時にすべての抵当権を抹消するためには、各債権者の抹消同意が必要です。1社でも同意が得られないと、そのままでは売却が完了しません。
ただし、買取業者を介することで債権者との交渉を一括で進められるため、個人で対応するより同意を得やすくなります。交渉が難航する場合は、弁護士や司法書士と連携して解決策を模索します。
Q: 残債が売却額を上回る場合、抵当権付き土地はどう処分すればよいですか?
A: オーバーローンの場合は、主に3つの選択肢があります。自己資金で不足分を補う方法、任意売却で債権者に減額交渉を行う方法、そして買取業者に売却して残債処理を並行で進める方法です。
競売になると市場価格の50〜70%程度での売却となるため、早めの相談で任意での売却を目指すことをおすすめします。
Q: 抵当権抹消にかかる費用と期間はどれくらいですか?
A: 登録免許税は1件あたり1,000円、司法書士報酬は1件あたり1万〜2万円が目安です。抵当権が3件ある場合、合計で約4万〜7万円程度になります。
手続き期間は、債権者からの書類取得を含めて2〜4週間が一般的です。ただし、債権者との交渉が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。
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