共有名義の不動産は片方の同意なしで売れる
2026年07月07日
共有名義の不動産は片方の同意なしで売れる?
「共有名義の不動産を売りたいが、もう片方が同意してくれない」というご相談が増えています。相続や離婚で共有名義になった不動産は、放置すると管理費用や税負担が膨らむ一方です。
この記事では、民法の根拠をもとに片方の同意なしでできること・できないことを整理し、共有持分のみの買取という現実的な解決策を詳しく解説します。
共有名義の不動産についての基本知識
まずは共有名義の仕組みと、自分の持分でできることの範囲を正しく理解しましょう。
共有名義とは何か
共有名義とは、1つの不動産を複数人で所有している状態を指します。たとえば相続で兄弟3人が実家を取得した場合、各自が3分の1ずつの「共有持分」を持ちます。
共有持分はあくまで「権利の割合」であり、建物のどの部屋が誰のものという物理的な区分ではありません。このため、不動産全体の売却や大規模な改修には共有者全員の同意が必要になります。
共有持分と所有権の違い
単独所有であれば、売却も建て替えも自分の判断だけで行えます。しかし共有名義では、民法249条〜252条により行為の種類ごとに必要な同意の範囲が定められています。
この法的制約を知らないまま動くと、手続きが無効になったりトラブルに発展したりするケースがあります。まずは「何ができて何ができないか」を正確に把握することが重要です。
片方の同意なしでできること・できないこと
民法251条・252条に基づき、共有不動産に関する行為は3種類に分類されます。以下の表で整理します。
行為の種類と必要な同意
行為の種類具体例必要な同意
保存行為雨漏り修繕・不法占拠者の排除単独で可能
管理行為短期賃貸借の設定・使用方法の決定持分の過半数
変更行為(処分)不動産全体の売却・建て替え全員の同意
ここで重要なのは、自分の共有持分の売却は「処分」ではなく持分権の行使にあたるという点です。つまり、不動産全体の売却には全員の同意が必要ですが、自分の持分だけであれば単独で売却できます。
この違いを理解しているかどうかで、取れる選択肢が大きく変わります。
同意なしで不動産を売却する3つの方法
片方の共有者が同意しない場合でも、以下の3つの方法で状況を打開できる可能性があります。
方法1:共有持分のみを売却する
最もシンプルかつ迅速な方法が、自分の共有持分だけを買取業者に売却する方法です。他の共有者の同意は不要で、最短で数日〜2週間程度で現金化できます。
当社のような買取専門業者であれば、持分のみの買取にも対応しています。仲介と異なり買主を探す必要がないため、スピーディーに手続きが完了します。
持分買取の一般的な流れは以下のとおりです。
査定依頼:物件情報と持分割合を伝えて無料査定を申し込む
現地調査・価格提示:物件の状態を確認し、買取価格を提示(最短翌日)
条件合意・契約:価格に納得いただければ売買契約を締結
決済・引渡し:即金で支払い、持分の所有権移転登記を完了
一般的に、共有持分の買取価格は不動産全体の市場価格に持分割合を掛けた金額の約40%〜70%程度が目安です。全体売却より金額は下がりますが、他の共有者との交渉が不要という大きなメリットがあります。
方法2:共有物分割請求を行う
民法258条に基づき、各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます。まず当事者間で協議を行い、まとまらない場合は裁判所に分割請求の訴えを起こします。
裁判所による分割方法には以下の3つがあります。
現物分割:土地を物理的に分ける方法(建物がある場合は困難)
代償分割:一方が他方の持分を買い取り、代金を支払う方法
換価分割:不動産を競売にかけ、売却代金を分配する方法
ただし、裁判には1年〜2年以上かかることもあり、弁護士費用も50万円〜100万円程度が目安です。時間とコストを考慮した上で選択する方法といえます。
方法3:交渉で全体売却の同意を得る
第三者(弁護士・不動産業者)を間に入れて交渉することで、同意を得られるケースもあります。当社でも共有者間の調整をお手伝いした実績があります。
相続と離婚で異なる共有名義の最適な解決策
共有名義になった原因によって、最適な対処法は異なります。それぞれのケースを見ていきましょう。
相続で共有名義になったケースの進め方
札幌では、親の実家を兄弟で相続し共有名義になるケースが非常に多く見られます。「とりあえず共有」で登記したまま放置され、数年後に売却の話が出たときに意見が合わないというパターンです。
相続の場合、以下の選択肢が考えられます。
遺産分割協議のやり直し:相続人全員の合意があれば、共有状態を解消して単独名義にできる
持分の買い取り:一方が他方の持分を適正価格で買い取る
持分売却:買取業者に自分の持分を売却し、相続問題から離脱する
2026年現在、札幌市内の相続に関する不動産相談件数は年間約3,000件以上にのぼるとされています。相続登記の義務化(2024年4月施行)により、放置していた共有不動産の問題が表面化するケースも増えています。
離婚で共有名義が残ったケースの進め方
離婚後も住宅ローンが残っている場合、共有名義を解消できないまま時間が経つケースがあります。元配偶者と連絡が取りにくくなり、売却の合意形成が難しくなる典型的なパターンです。
離婚の場合の選択肢は以下のとおりです。
家庭裁判所の調停:財産分与として不動産の処分を申し立てる
共有持分の売却:自分の持分を買取業者に売却し、ローン返済に充てる
共有物分割請求:裁判所に分割を求める(最終手段)
離婚の場合は感情的な対立が大きく、直接交渉が困難なことが多いため、第三者を介した手続きが現実的です。
共有者が行方不明・音信不通の場合の対処法
共有者と連絡が取れないケースでは、通常の交渉や協議ができません。この場合、法的な手続きで対処する必要があります。
不在者財産管理人の選任申立ての流れ
共有者の行方がわからない場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てることができます。管理人が選任されれば、裁判所の許可を得た上で不動産の売却手続きを進められます。
申立ての手順は以下のとおりです。
必要書類の準備:申立書・不在者の戸籍謄本・財産目録・不在の事実を証明する資料
家庭裁判所への申立て:不在者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出
管理人の選任:裁判所が弁護士等を管理人として選任(申立てから約1〜3ヶ月)
権限外行為の許可申立て:不動産売却には別途裁判所の許可が必要
費用の目安は、申立て手数料が800円、予納金が20万円〜100万円程度です。手続きに時間がかかるため、早めに動き始めることが大切です。
失踪宣告の要件と手続き
行方不明の状態が7年以上続いている場合は、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることができます。失踪宣告が確定すると、法律上その人は死亡したものとみなされ、相続手続きを経て不動産の処分が可能になります。
ただし、失踪宣告は影響が大きい手続きです。一般的には不在者財産管理人の選任で対応し、失踪宣告は最後の手段として検討するのがよいでしょう。
札幌で共有名義の不動産を放置するリスク
共有名義の不動産を「とりあえずそのまま」にしておくと、札幌特有のリスクが加わり問題が深刻化します。
冬季の管理負担と建物劣化
北海道の冬は11月から翌4月まで約半年間続きます。空き家状態の共有不動産では、除雪費用が年間10万円〜30万円かかることも珍しくありません。
さらに、水道管の凍結防止対策を怠ると破裂による水漏れ被害が発生します。道内では毎年多くの空き家で凍結トラブルが報告されており、修繕費が数十万円に及ぶケースもあります。
共有名義の場合、こうした管理費用を誰が負担するかで共有者間のトラブルに発展しやすい点も大きなリスクです。
固定資産税の負担と共有者間トラブル
固定資産税は共有者全員に連帯納付義務があります。札幌市街地エリアの戸建てであれば、年間8万円〜15万円程度の固定資産税がかかります。
一方の共有者が支払いを拒否した場合、もう片方に全額の請求が届くことになります。放置期間が長くなるほど累積額は大きくなり、関係修復も困難になります。
2026年の札幌の不動産市場は、地下鉄沿線やJR沿線の利便性の高いエリアでは需要が底堅い一方、郊外では人口減少により地価が年1〜3%下落する地域もあります。放置している間に資産価値が目減りするリスクも見逃せません。
共有持分の買取で失敗しないためのポイント
共有持分の売却は通常の不動産売却と異なる点が多いため、事前にポイントを押さえておくことが重要です。
買取業者選びの注意点
共有持分の買取に対応できる業者は限られています。以下の点を確認しましょう。
共有持分の買取実績:年間の取扱件数や過去の事例を確認する
査定の透明性:価格の根拠を明確に説明してくれるか
契約条件:仲介手数料の有無、諸費用の負担範囲を事前に確認する
地域密着の対応力:札幌の不動産事情に精通しているか
当社は札幌を拠点とする不動産買取専門業者として、共有持分の不動産買取にも対応しています。仲介手数料は不要で、最短翌日の査定・即金での買取が可能です。
売却後に起こりうるトラブルと防止策
共有持分を買取業者に売却した場合、買取業者がもう片方の共有者に対して持分の買取交渉や共有物分割請求を行う可能性があります。これは法的に認められた行為ですが、残された共有者にとっては負担になることがあります。
トラブルを防ぐためのポイントは以下のとおりです。
事前の通知:売却前にもう片方の共有者に意思表示をしておく(義務ではないが推奨)
信頼できる業者の選定:強引な交渉をしない業者を選ぶ
契約内容の確認:売却後の責任範囲を契約書で明確にしておく
片方の同意なしに共有持分を売却すること自体は合法ですが、その後の共有者間の関係にも配慮することが大切です。当社では、お客様の状況に応じて他の共有者への影響を最小限にする方法もご提案しています。
よくある質問
Q: 共有名義の不動産は片方の同意なしでも売却できますか?
A: 不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。しかし、自分の共有持分のみであれば、他の共有者の同意なしに単独で売却できます。
民法上、持分の処分は各共有者の自由とされています。買取専門業者であれば、持分のみの買取にも対応しており、最短数日で現金化が可能です。
Q: 共有持分だけを買取業者に売った場合、もう片方の共有者にどんな影響がありますか?
A: 買取業者が新たな共有者となります。その後、業者がもう片方の共有者に持分の買取交渉や共有物分割請求を行う可能性があります。
信頼できる業者を選ぶことで、他の共有者への影響を最小限に抑えることができます。当社では、共有者間のトラブルを防ぐ配慮をした上で買取を進めています。
Q: 共有者と連絡が取れない場合、不動産を売却するにはどうすればよいですか?
A: 家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法と、自分の共有持分のみを売却する方法の2つが現実的な選択肢です。
不在者財産管理人の選任には約1〜3ヶ月かかり、予納金も20万円〜100万円程度必要です。早期解決を重視する場合は、持分のみの買取が有効な手段です。
Q: 離婚後に元配偶者が共有不動産の売却に同意してくれない場合の解決策は?
A: 主に3つの手段があります。家庭裁判所での調停申立て、自分の共有持分の売却、そして共有物分割請求訴訟です。
調停は約3〜6ヶ月程度かかります。早期に現金化したい場合は、持分のみを買取業者に売却する方法が最もスピーディーです。
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